技術研究部会

シビルセミナー

2016年07月06日 [ 静岡コンサルタント(株) 樋口 隼也 ]

河川環境に配慮した橋梁拡幅と耐震補強 ”土瑞橋の拡幅設計・耐震補強設計について”[PDF/1,148KB]

 栃山川水系 栃山川(以下、栃山川)は、大津谷川合流点を起点とし、島田市、藤枝市および焼津市を流れ駿河湾に至る二級河川である。栃山川の下流域では,静岡県で絶滅危惧Ⅰ種に指定されている「シロウオ」が生息している。
 本業務は,藤枝市大東町地内の(主)藤枝大井川線において,志太中央幹線交差点部に右折レーンを設置するため,交差点手前の栃山川を渡河する土瑞橋(ドズイバシ;2 径間単純鈑桁橋,橋長 47.11m,既設有効幅員13.0m)の拡幅設計(上流側へ3.0m)である。
 拡幅量が 3.0m と広いことから,橋脚は,フーチング,柱,梁部を拡幅することが通常の拡幅方法と考えられる。しかし,栃山川には,シロウオが生息するため,河川流水部にコンクリートを打設するとシロウオの生態系に悪影響を与えることを懸念する。また,既設橋脚の耐震補強も同時に行うため,単純に下部構造を拡幅することは困難である。
そこで,河川流水部にコンクリート構造物を構築することなく橋梁拡幅を行い,かつ,橋脚柱の耐震補強を行うことを立案した。
2016年07月06日 [ 服部エンジニア(株) 押尾 泰寿 ]

狭い所と高い所の橋梁点検 狭隘桁下のCCD 点検,逆ローゼ橋の特殊高所技術点検[PDF/1,031KB]

 平成24 年12 月の笹子トンネル事故を契機として,日本ではインフラの維持管理に関する社会的関心が急速に高まり,平成25 年をメンテナンス元年と位置づけ,平成26 年の道路法の改正,同年に定期点検に関わる省令・告示が施行され,今や日本中で社会資本ストックの点検・診断が実施されている。
 静岡県においても橋梁の定期点検が計画的に進められているが,道路橋では小さな損傷であっても致命的な事故に繋がることもあるため,必要な知識と技能を有する技術者が全ての部材に近接して目視・点検・診断することが原則とされている。
 標準的な桁橋の点検では,橋梁点検車やリフト車等を利用して近接する方法が一般的だが,一方で橋梁固有の現場条件や形状・寸法等 によって,物理的に近接目視が困難な場合があったり,点検員に特殊な技術が必要になる場合もある。
 ここでは,桁下空間が狭隘で点検員が進入困難な橋の点検事例と,上路式ローゼ桁橋(「逆ローゼ橋」と略す)のため,50m 以上の高所での近接目視点検の事例を紹介し,これらの点検の事前検討や当日の実施状況,および点検後の評価等について報告する。
2016年07月06日 [ 株式会社 共和コンサルタント 小野 祐樹 ]

ため池整備における耐震対策について ~西ノ谷池耐震対策設計業務~[PDF/3,907KB]

本業務は、静岡県浜松市浜北区尾野地内に位置する『西ノ谷池』が耐震診断により、耐震性能を満足していないため、堤体及びその付帯施設などの設計計画を行ったものである。
 西ノ谷池は平成25年度に地質調査業務及び耐震性点検業務を行い堤体の危険性が報告されており、平成26年度に基本設計が行われた。
 基本設計では耐震対策として一般的な(堤体押え盛土)工法にて計画を行ったが仮設費(工事用道路)の土の確保や経済性について課題があり、堤体の耐震対策を含めた再検討が必要であった。
 また西ノ谷池はへらぶな釣りで有名な池であり、週末ともなると県内外から“へら師”が集まるため、工事期間中のへらぶなの保護等も検討課題の一つでもある。
2016年07月06日 [ 不二総合コンサルタント株式会社 山田 真弓 ]

協働による海岸防災林づくり「掛川モデル」で地域を守る ~「海岸防災林強化事業」の設計・基本計画業務~[PDF/4,696KB]

 静岡県掛川市沿岸部は、海からの激しい季節風「遠州の空っ風」による飛砂から農地や宅地を守るため、“斜め海岸林”と呼ばれる国内唯一の貴重な景観が形成されている地域である。一方、南海トラフ巨大地震で想定される津波により浸水被害が想定されている地域でもある。
 掛川市における海岸防災林強化事業「掛川モデル」は、海岸林の従来機能「飛砂防備」に、「津波への減災」機能を備えることを目的とし、海岸線約10 キロメートルにわたり、レベル2津波に対応した高さに海岸防災林基盤を嵩上げ盛土し、抵抗性クロマツや広葉樹を植樹して防災林を強化するものであり、表1-1 の様に平成26 年度から事業を推進している。
 当社では、事業に関わる測量・設計・基本計画検討業務に携わっている。本稿では掛川市における「海岸防災林強化事業」について紹介する。
2016年07月06日 [ 昭和設計株式会社 小野 厚 ]

障害者、高齢者、地域との連携した自然再生、地域活性化 麻機遊水地の自然再生の取り組み[PDF/1,697KB]

 昭和49年7月7日から8日にかけて静岡県内を縦断した台風8 号に伴う「七夕豪雨」により、静岡市から旧清水市の二級河川巴川流域では、死者行方不明者41 名、床上床下浸水2 万6 千棟を超える大災害をもたらした。これを契機に、巴川は昭和54 年に総合治水対策特定河川に指定され、巴川中流部の狭窄箇所の拡幅や大谷川放水路の建設が行われ、これと併せて麻機遊水地の整備が行われている。
 麻機遊水地では、遊水地整備に伴い土壌に埋もれていた種子から絶滅危惧種に指定されているミズアオイやタコノアシが蘇り、さらには開放水面が増えたことにより野鳥をはじめとするトンボや魚類など多くの動植物が生息・生育する良好な湿地環境が形成されてきた。
 そのため県と市が連携し、地域住民や各種団体等に呼びかけを行い、平成16 年1 月に施行された自然再生推進法に基づき「巴川流域麻機遊水地自然再生協議会」を設立し、ここに生息・生育する動植物の保全・再生することを目標に様々な取り組みを進めてきた。
 弊社では設立当初からこの協議会の運営支援に関わってきたことから、これまでの麻機遊水地の自然再生事業における人と自然との関わり方や、それによって取り戻しつつある自然環境について紹介する。
2016年07月06日 [ 株式会社フジヤマ 高田 哲也 ]

~「快適な暮らし空間」の実現に向けて~ 島田旭一丁目宅地分譲開発申請業務[PDF/2,037KB]

 我が国は人口減少、少子高齢化が進む中で「東日本大震災」を経験し、沿岸部の産業を中心に発展してきた静岡県にとっても大きな試練を迎えることになった。平成25 年には静岡県からの人口流出は北海道についで全国ワースト2位となり、「産業振興」ならびにこれを支える「人口 の定住化」が大きな課題となっている。現在のような人口減少社会においては、地方都市で定住化を促進することは容易ではない。過去の住宅振興事業のような「画一的な定住場所」にかつての需要はなく、地域の独自性を活かした「魅力」を発信すると共に、新たな価値観による「くらし空間」を提供することが求められている。
 これらの背景を踏まえ、静岡県では「豊かな暮らし空間創生住宅地制度」を施策として進めており、本案件は様々な課題を試行錯誤の上解決し、上記の認定第1号に至った事業である。
2016年07月06日 [ 株式会社 東日 鈴木 美企次・市川 美南海 ]

3次元モデリングソフトの活用 ~小山湯船原工業団地設計における景観への取組~[PDF/3,112KB]

 小山湯船原工業団地は、静岡県東端の小山町湯船地区(ふじのくに防災減災・地域成長モデル総合特区及び内陸フロンティア推進区域に指定)にて、静岡県企業局がレディーメード方式により実施する工業団地整備事業である。
 当工業団地は、世界文化遺産に登録された富士山の東麓に広がる台地に位置し、国道246号、東名高速道路、平成32年度供用開始予定の新東名高速道路など、東西の大動脈に至近し、東京から約1時間と工場立地に優れた条件に恵まれている。
 このような背景から、当工業団地は「富士山を借景にした森に佇む工業団地」を整備コンセプトに、富士山の眺望を意識した区画割や道路配置などを検討して基本設計を策定し、特に、次の2箇所を富士山眺望の重要地点とした。

 ①東西幹線道路の線形計画
 ②展望公園の配置


 今回は、この基本設計が整備コンセプトに即しているか確認するため、3次元モデリングソフトを活用して重要地点からの眺望を検証し、実施設計に反映した事例である。
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