技術研究部会

シビルセミナー (2013年)

2013年09月11日 [ 大鐘測量設計株式会社 新間悠三 ]

第9回 被災原因調査の重要性 ~道路災害設計で学んだこと~[PDF/1033KB]

平成24年は、梅雨の季節に台風が来襲し、梅雨前線と台風の相乗効果で大雨が降る異常気象の年であった。
本業務は6月の台風4号の影響による県道の被災に対して、「災害時における測量設計等業務委託に関する協定書」に基づき、袋井土木事務所より当社が「業務実施要請」を受けて実施した測量設計である。
当初の被災報告は路肩決壊延長12m、事業費は数百万円であったが、最終的には復旧延長127m、事業費は1億円を超える、道路災害関連事業となった。
業務を進める中で、当初の被災原因への疑問から、再調査を行った。また原因が究明出来た後も、幅広い復旧工法の選択肢が考えられる中から、どのように絞込みを行っていくかなど、学ぶことの多い業務であった。この災害復旧業務の取り組みについて紹介する。
2013年09月11日 [ 吉田測量設計株式会社 金原和利 ]

第9回 小水利施設の長寿命化を目指して ~農業水利施設ストックマネジメント~[PDF/2026KB]

社会資本のひとつであるインフラ資産を対象とした用語に「アセットマネジメント」、ストックマネジメント」、「ライフサイクルコスト」などが多く使用されるようになった。
その背景として、国営、都道府県営事業等により造成された基幹的な農業水利施設は、約4万5千kmにのぼっており、末端施設まで含めれば約25兆円に及ぶ社会資本ストックとして形成されるに至っている。これらの農業水利ストックは、食料の安定的な確保に不可欠なばかりでなく、洪水防止や地下水涵養といった多面的機能の発揮においても重要な地域資源である。
また、多くの農業水利ストックは、高度成長期に急速に整備されているため、今後更新時期を迎える施設が急増することが予測され、保全技術の確立が急務になっている。
2013年09月11日 [ 不二総合コンサルタント株式会社 杉山広明 ]

第9回 農業水利施設を利用した小水力発電 ~小水力発電のABC~[PDF/1180KB]

近年、資源を化石燃料や原子力に依存し、大量生産・消費を繰り返してきた我が国は東日本大震災により原子力発電への不信が広がり、クリーンエネルギー社会への変革を求めざるを得ない状況となっている。
平成9年から「新エネ法(新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法)」平成14年からは更に風力、地熱、小水力が追加された「RPS法」により新エネルギー(再生可能エネルギー)の普及が図られてきており、平成19年3月には「出力1,000kW以下の水路式の水力発電」から水路式以外のダム式等の水力発電も対象となったものの、落差及び水量が十分ある箇所での水力発電施設はすでに多く設置されており、出力が小さい低落差・低流量での発電は従来の売電価格が安かったため、農業用水路を利用した小水力発電施設が設置されることは殆どなかった。
しかし、平成24年7月より「RPS法」に代わり「再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)」が施行され、売電単価が高くなったことにより再生可能エネルギーの発電所設置の可能性が高くなった。
そのような状況で、水(農業用水)の持つエネルギーを見直しながら、再生可能エネルギーを利用し、農山村地域を再生させる取り組みが全国各地で始まっている。
農業用水の未開発発電ポテンシャルは、資源エネルギー庁と農林水産省の共同調査によると、理論包蔵水力として約4億kWh(約140万世帯分)、666地点(全国のダム式、水路式の出力10kW以上のものを対象)とされているが、「流水利用型」の技術が実用化されれば、さらに大きな発電ポテンシャルを見込むことが可能となる。
我が県でも、大井川用水地区において、農業水利施設の莫大な維持管理費を水力発電の電力を売電することで、地元負担を軽減し、農業及び地域の再生と活性化に取り組んでいる。その取り組みをサポートする形で、水力発電システムの提案を行った。
2013年09月11日 [ 株式会社東海建設コンサルタント 齋 強志 ]

第9回 水質改善と循環も考慮した治水対策(環境治水対策の実践)[PDF/1739KB]

昔の雨水は地下に浸透して、河川にゆっくり流れ込んでいたが、現在の雨水は都市化によって地下に浸透せず、素早く河川に流れ込むために都市型水害が発生している。
このような都市型水害に対して首都圏では、河川改修や下水道整備と併せて、多目的雨水調整池の整備や地下河川の整備などによる総合治水対策を行っている。
最近の治水対策の傾向としては、治水に加えて、地下水涵養による健全な水循環の回復など、水環境も考慮した治水対策(以下、環境治水対策と称する)に変わりつつある。
環境治水対策とは、降った雨を昔のように地下に浸透させて、健全な水循環を回復しながら治水する対策であり、これまでの水害防除をメインとしてきた総合治水対策に、水環境を考慮した治水対策として注目されている。
都市に降った雨が昔のように地下に浸透すれば、河川への流出量は抑制されるとともに、地下水涵養に伴う地下水枯渇の解消、地下水枯渇の解消に伴う湧水の復活、湧水の復活に伴う河川水の水質浄化と水量の確保、健全な水循環の回復による都市のヒートアイランド現象の抑制など、これまでの治水効果に加えて都市における水環境の改善も図ることが出来るようになる。
2013年09月11日 [ 静岡コンサルタト株式会社 技術第1部 田中 寛 ]

第9回 事故ゼロへの挑戦!交通安全対策プランの策定[PDF/1002KB]

県道熱海函南線において、平成24年5月14日に発生した事故は、熱海市役所周辺の市街地で発生したブレーキ故障による事故で、歩行者を巻き込まないまでも、人身7人、車両4台が関係する大きな事故であった。
本業務は、これまでに対策を講じている緊急避難所、標識類による警戒や注意喚起などの効果を検証し、平成18年~22年の5年間に発生した交通事故の分析、道路利用者の聞き取り調査、関係機関が参加する検討会議の意見等を踏まえ、ブレーキ故障による事故だけでなく、路線全区間において「事故ゼロを目指す」交通安全対策を提案するものである。
2013年09月11日 [ 株式会社フジヤマ 金原 剛・瀬尾直樹 ]

第9回 平成の命山 -袋井市湊地区津波避難施設の設計-[PDF/897KB]

2011年(平成23年)3月11日14時46分、宮城県牡鹿半島の東南東約130km、仙台市の東方約70kmの太平洋の海底を震源とする東北地方太平洋沖地震が発生した。地震の規模はモーメントマグニチュードMw9.0で、日本周辺における観測史上最大の地震である。地震発生後の死者・行方不明者は約18,600人(平成25年5月現在:警察庁)におよんでいる。
東北地方太平洋沖地震以後、中央防災会議では、「東北地方太平洋沖地震を教訓とした地震・津波対策に関する専門調査会」が立ち上げられた。同委員会において、今後の津波対策を講じるうえでは、二つのレベルの津波(発生頻度は極めて低いものの発生すれば甚大な被害をもたらす最大クラスの津波【L2津波】と、最大クラスの津波に比べて発生頻度が高く、津波高は低いものの大きな被害をもたたす津波【L1津波】)を想定することとされた。
一方、内閣府「南海トラフ巨大地震モデル検討会」より南海トラフの巨大地震に伴う最大クラスの津波浸水想定が公表され、現在、津波の浸水が想定される地域では、既存施設を利用した津波避難ビルの指定や、新規の津波避難タワー等の建設が検討されている。本稿は、新規に建設する盛土構造の津波避難施設(命山)について、袋井市における津波避難施設の天端高の検討事例を紹介する。
ページの先頭へ