技術研究部会

シビルセミナー

2023年07月07日 [ 静岡コンサルタント株式会社 渡邉 伸一 ]

その補強材、本当に、、、。取っていいの?
ゲルバーヒンジ部補修検討業務の事例報告
[PDF/4,361KB]

静岡県焼津市浜当目地内にて供用中の当目大橋は、(一)静岡焼津線を構成する橋梁であり、海岸線から約500mの場所に位置している。当該橋梁は、橋長が137m、上り線はRC7径間連続ゲルバー式T桁橋、下り線は鋼7径間単純合成鈑桁橋であり、各々、1939年と1968年に建設された。上り線のT桁橋にあるゲルバーヒンジ部は吊桁支持工法により補強済みであるが、供用期間を経る中で塩害が進行し、断面修復工による補修が必要な状態に至っていた。本業務では、補修工事を行う際に、支持部材を取り外すための車両制限の検討、施工手順の検討を行った。ゲルバーヒンジ部の健全性は、補修工事の前提となるため、近接目視、打音、ファイバースコープによる調査を行い、損傷度を把握した。また、吊桁支持工法は、ゲルバーヒンジ部の受台と支持部材における荷重分担が明瞭ではないため、現地で載荷試験によるひずみ計測を行って荷重分担を把握した。これらの結果、ゲルバーヒンジ部のRC構造は、耐荷性能が低下するような損傷を生じていないこと、吊桁から支持部材への荷重作用は小さいことを把握した。次に、建設当時の基準に基づいて、ゲルバーヒンジ部を復元設計することで現在の耐荷性能を評価した。また、格子解析を行って取り外し後の反力を算出し、車両制限を行わなくても支持部材を取り外した状態の安全性が確保されることを確認した。
2023年07月07日 [ (株) 建設コンサルタントセンター 高野 隼行 ]

静岡大学と「新技術開発」にチャレンジ
静岡大学との共同研究「画像からコンクリート構造物のひび割れを自動検出するシステム」
[PDF/867KB]

当社は令和3年度に静岡大学工学部電気電子工学科応用画像処理研究室と共同研究を行った。県内で建設コンサルタントと地元の大学が共同研究を行った希少な試みと考える。今回の発表では、この共同研究についてどのような経緯で、どのような研究を行ったのか紹介する。
2023年07月07日 [ 株式会社フジヤマ 橘 亮汰 ]

トンネルで発生した変状の原因は?
覆工コンクリートの変状要因究明
[PDF/504KB]

宇久須隧道は、昭和7年に建設された、国道136号と黄金崎を結ぶトンネル(L=77.6m、W=5.3m)である。黄金崎は、駿河湾と富士山の眺望がすばらしく、夕陽を浴びて黄金色に輝く美しい岩肌で知られる景勝地で、西伊豆町の人気の観光地である。
令和2年度に、定期点検が実施され、「覆工全体にコンクリートの著しい材質劣化が見られ、はく落の危険性がある」ことから『健全度Ⅲ』と判定されていた。
令和3年度に、①変状の原因究明と、②対策工設計が発注され、弊社が受託した。本稿は、業務を進めていく中で、覆工全体に確認されたコンクリートの材質劣化の変状要因が特異で、特定することが困難であったことから、業務と並行して、弊社独自に、変状要因を究明するために実施した各種調査とその結果を取りまとめたものである。
2023年07月07日 [ 昭和設計株式会社 望月 智晴 ]

サーマルカメラで松枯れの拡大を防ぐ
-サーマル(熱赤外)カメラ搭載ドローンによる感染初期の松枯れ調査手法と対処方法の開発-
[PDF/944KB]

本研究は、静岡市産学交流センターの「令和2、3年度 地域課題に係る産学共同研究委託事業」に民間代表として参画し、静岡県立農林専門職大学短期大学部生産科学科の星川健史講師及び静岡県農林技術研究所森林・林業研究センターの加藤徹科長の3者で共同研究を行なった。
クロマツ海岸林は、潮風や飛砂を防止するとともに高潮や津波から地域を守る等の重要な役割を担っている。また、美しい海岸と相まって白砂青松の魅力ある風景を織りなし、観光資源としても地域にとってかけがえのないものとなっているが、(図-1)のように全国で松枯れが進み、危機的な状況となっている。
このクロマツ海岸林を次世代に継承するためには、松枯れの主原因となっているマツノザイセンチュウ(以下、「センチュウ」と称す) による「マツ材線虫病」を抑制することが求められている。
研究を始めた令和2年度には、見た目では判別できない夏前に、センチュウに感染した感染初期木と健全木の樹冠表面に温度差が発生することが確認できた。
しかしこの時点では、感染初期木の枯れ始めの時期、健全木との温度差等の生態が解明されておらず、現地で的確に感染初期木を抽出することが困難な状況であった。(図-2、3)
そこで、令和3年度には、圃場において意図的にセンチュウに感染させた感染初期木と健全木について、サーマルカメラで時間経過による樹冠表面温度差等の変化を確認していき、松枯れがどのように進むのか等を明らかにするとともに、その結果に基づき、広大なクロマツ海岸林等で効率的に調査を行うための調査手法を整理した。
また、感染初期木の適切な対処方法についても明確にした。
2023年07月07日 [ 不⼆総合コンサルタント株式会社 ⽥村 卓⼰ ]

景観に配慮した⾊を選ぼう
-橋梁改築に伴う景観検討-
[PDF/1,399KB]

清⽔町は、⾹貫⼭から横⼭、徳倉⼭、志下⼭、⼩鷲頭⼭、鷲頭⼭、⼤平⼭と続く稜線が広がり、伊⾖半島に連なる天城⼭を⽔源とする狩野川、富⼠⼭を借景とする開放的な河川景観を有している。⼀⽅で清⽔町を縦断するように狩野川が流れており、特に東⻄を結ぶ徳倉橋に都市内交通が集中することで、慢性的な交通渋滞が発⽣、住⺠の⽣活や物流に⼤きな⽀障をきたしている。そこで清⽔町徳倉と三島市⻑伏に狩野川を渡る新たな橋を整備することになった。
環境に馴染み、美しい橋梁景観を形成するためには、景観設計における橋梁の⾊彩計画が重要である。橋梁の⾊彩を選定し、イメージの共有を図るため、フォトモンタージュを作成する。しかしながら、これまでその多くは地上から撮影した写真が使われていた。
近年、⼩型のUAV(UnmannedAerialVehicle:無⼈航空機)が⾼性能化・低価格化したことで、容易に空中写真を撮影することができるようになった。⾊彩検討を⾏う視点場※1も上空からのアングルを⼊れることが可能となった。
本稿では、橋梁塗装⾊について「沼津⼟⽊事務所景観検討委員会」に諮るため、塗装⾊の検討候補を選定し、UAVによる空中写真に3Dの橋梁モデルを合成することで架橋イメージを可視化し、景観検討の資料を作成した事例を紹介する。
2023年07月07日 [ 株式会社中部綜合コンサルタント 井村 貴良 ]

モニタリングは難しい・・・
-支流河川における排水対策の検証モニタリング-
[PDF/1,735KB]

浜松市浜北区小林地先に位置する普通河川小林川以下:小林川とするは、二級河川馬込川以下:馬込川とするに流入し、大型ショッピングモール周辺市街地と畑が混在する地域68haを流域としている。
近年の気候変動や異常気象により、小林川流域では、道路冠水被害や住宅等の浸水被害に見舞われている。記憶に新しいところとして、令和4年7月豪雨、同年9月の台風15号において、静岡県サイポスレーダーの矢矧橋に設置された定点カメラによって撮影された馬込川と小林川合流部の水位が堤防を超える寸前の様子が全国ニュースで放送された。馬込川は下流から改修を行っているものの、小林川流域においては改修が進んでおらず、近年の異常気象による豪雨で危険水位を超える状況となっている。
このような状況を引き起こす要因として、馬込川の水位上昇により、小林川は排水不可能となり、さらに本川である馬込川と支川である小林川の水位が逆転することで馬込川から小林川に逆流し、小林川流域で越水が発生することによる被害が拡大しているものと考えられる。この対策として令和3年度に小林川の流入口に逆流防止装置フラップゲートを設置した。
今回の事例は、逆流防止装置の設置後における被害状況の確認として簡易水位計を設置し、逆流防止装置の効果を検証した結果について紹介する。
2023年07月07日 [ 株式会社東日 笹原 哲也 ]

発生直後の土石流災害にUAVで迫る!
- 熱海市伊豆山土石流災害UAVを用いた初期の計測および解析作業についての報告 -
[PDF/2,754KB]

本発表をするにあたり、令和3年7月3日(土に発生した熱海市伊豆山地区の土石流災害により、亡くなられた方々に謹んでお悔やみを申し上げますとともに、被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。
また、県内外の警察、消防、ならびに自衛隊をはじめとする関係者の皆様の懸命な救助・復旧活動には、静岡県の東部を生活基盤とする私たちも、被災者と同様に深くお礼を申し上げます。
被災から2年近くが経過し、関係者の弛まぬ努力により、本年9月に警戒区域の解除が発表されましたが、今後も関係者が一体となり、被災地域の一日も早い復旧が進むことを心よりお祈りいたします。
当社も、発災当日から現地に乗り込み、凄惨な状況に日々戸惑いながら、微力ではございますが、復旧活動の一端に携わらせていただきました。
今回の報告は、7月3日の発災直後に業務実施要請の連絡を受けたのち、UAVによる崩壊地動画撮影から、7月8日のUAV点群データによる土石流の流出状況及び流出土量の第1報までの、活動状況を報告します。
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