技術研究部会

シビルセミナー

2018年06月27日 [ 株式会社フジヤマ 堀 真也 ]

日本の大動脈を守る!限られた時間との戦い!
~ 東名高速道路を跨道する橋梁の撤去 ~
[PDF/448KB]

 本設計は、平成27年度に実施された橋梁点検により、早期に大規模改修もしくは撤去が必要と判断された寺山橋の撤去設計である。寺山橋の撤去設計は、当該橋梁が我が国の大動脈路線である東名高速道路を跨ぐ橋梁であることから、交通影響を最小限とした計画が求められた。
 高速道路上での橋梁撤去は、時間的な制約から一般的に多軸台車や高速道路外部に設置した大型クレーンにより一括撤去を行うことが多い。しかし、本設計では、周辺の土地・地形条件から多軸台車の発進・後退基地及び近接した大規模な施工ヤードが確保することができなかった。このため、上部工を3分割し、1夜間の通行止め規制による中央支間の撤去計画と交通影響の少ない路肩規制による側径間撤去計画を行った。
2018年06月27日 [ 株式会社中部綜合コンサルタント 野島 順二 ]

よくみる山岳道路の路面沈下、防災対策事例
北遠地区の道路谷側部の防災対策事例
[PDF/751KB]

 日本の国土の60%以上は山地からなり、山地内には人々の生活を結ぶ山岳道路が作られている。昨今、山間地の過疎化が進んでいるが、山岳道路は山間地で暮らす人々の生活道路として重要な役目を担っており、今後も維持・管理していくことが非常に重要である。
 このような状況下で、静岡県の西部に位置する北遠地区(旧天竜市、旧水窪町、旧佐久間町、旧春野町)は長野県や愛知県と山地を介して隣接しており、地区面積の大半が山地からなっている。北遠地区は日本を代表する大断層・中央構造線や赤石構造線が通っており、その影響で地質が脆弱であり、地すべり地が多い。また周辺の山地は一級河川・天竜川をはじめとした河川の浸食で急峻な山地を形成している。このような山地内を通る道路は、地形や地質の影響を強く受けるため、厳しい環境下にさらされており、頻繁に災害が発生している。山岳道路の多くが切土・盛土で作られ、山側部と谷側部で構造が異なるため防災対策において設計思想は異なることになる。今回は、道路谷側部の変状に対する補強対策の防災設計事例を紹介する。
2018年06月27日 [ 株式会社 建設コンサルタントセンター 細川 勝也 ]

サイフォン機能廃止は流動化処理土充填で! ~観音川サイフォン撤去設計~[PDF/878KB]

 昭和40年代後半、沼津港では、観音川(狩野川水系に属する一級河川)からの流入水による水質汚濁が目立つ状況にあった。この時期、沼津港を整備するにあたり、港内の環境保全の観点から、観音川の流水を港内ではなく、沼津港航路の地下を横断させ狩野川へ流すサイフォン(横断部:鋼管φ3.0m×L52m)を計画した(図-1.1)。
 しかし近年、観音川流域の生活環境が変化し、例えば流域周辺の下水道の普及、水質汚濁に対する規制の厳格化、水産加工場等の減少から水質が改善され、狩野川へ流出させる必要性がなくなった。一方、サイフォンは建設から約40年以上が経過し、老朽化によるサイフォン管の破損に伴う航路の陥没などが懸念された。このため、不要となったサイフォンの機能を廃止し、航路の安全を確保するための方法を検討することとなった。
2018年06月27日 [ 昭和設計株式会社 阿部 晃久 ]

みちづくりを進めるための選択
~袋井市上山梨地区における沿道整備街路事業の導入~
[PDF/1,145KB]

 既成市街地における都市計画道路の整備手法は、計画道路の用地を買収して行う直接買収方式街路事業が主流となっている。都市計画道路は、都市計画決定されたのち、道路用地の取得や、事業資金の調達に時間を要することが多く、特に用地買収について、地権者の理解が得られず、用地取得ができないことから、長期間未整備のままとなっているものがある。
 袋井市上山梨地区においても、(都)袋井駅森線と(都)山梨中央通り線の2本の都市計画道路が位置付けられているが、事業化がなされず、平成8年に都市計画決定されて以来、17年間未整備のままとなっていた。また、両路線とも、交通の要衝にあり、袋井市の早期整備路線に位置付けられていた。このため、両路線を円滑かつ効率的に事業を推進し、早期開通を実現するために、「沿道住民の様々なニーズ(土地の売却希望、代替地希望や現地残留希望等)に応える」敷地レベルでの換地手法を用いた沿道整備街路事業を導入し、“みちづくり”(街路整備)と合わせて良好な市街地形成を図ることとなった。
2018年06月27日 [ 服部エンジニア株式会社 田川 雄之 ]

GISによる「業務履歴の可視化」や「既存成果の利活用」
~GISを用いた業務履歴管理及び既存成果の利活用における実証実験~
[PDF/804KB]

 高度情報化社会の現代において,企業などの組織は多くの情報を保有している.しかしながら,「情報」はそれ単体では単なる情報でしかなく,それらを利活用できる形で情報管理を行うことにより,情報は「情報資産」となりうる.組織の保有する情報を効果的に管理・運用することは,資産運用の観点から重要となる.
 それら情報資産の一つである業務履歴情報は,単に「これまでにどのような業務を行ってきたか」を把握するためだけでなく,これまでに蓄積された様々な情報と結びつく非常に重要な情報である.
 しかしながら,それらの情報は契約台帳などの文字情報として管理され,業務の詳細な実施箇所が可視化できる形で管理されていないことが多い.施工箇所(町字レベル)の情報から業務実施箇所を推察することは困難であり,業務実施箇所の詳細を確認するためには「TECRISの業務対象地域の座標」「契約図面」等から個別に確認するしかないのが現状である.そのため,特定の場所における業務履歴を検索したい場合,「担当営業や技術者の頭の中にある情報」に頼る場合も多く,業界全体として従業員が高齢化している現状において,社員の退職などにより,それらの情報が失われる事が懸念される.
2018年06月27日 [ 株式会社技研測量 金田 敬史 ]

周辺環境と建設コストを考慮した測量設計
-林業専用道獅子ヶ鼻線開設工事測量設計における一考察-
[PDF/1,630KB]

 林道が通過する森林の利用区域内において、造林・間伐・木材搬出などの森林施業の効率化及び、森林整備により水土保全や山地災害防止などの公益機能の持続発揮を目的として開設される林道工事(林業専用道)の測量設計を実施した事例について紹介する。
2018年06月27日 [ 株式会社 東日 若林 隆夫 ]

無電柱化事業の経緯と法律改正による今後の事業の在り方について
~良好な都市景観の創出と安全安心に向けて~
[PDF/1,325KB]

 わが国の無電柱化(当初は電線類地中化)は、「キャブシステム研究委員会報告」(昭和60年10月21日)により、昭和61年度から「第1期電線類地中化計画」がスタートし本格的な整備に入った。  その後「電線共同溝の整備などに関する特別措置法」(平成7年)を経て、現在の「無電柱化の推進に関する法律」(平成28年公布・施行)により新たな整備の時代に入った。
 この間幾多の整備計画を経て現在の「第二期無電柱化推進計画」(H21~H25)を延長し整備を進めている。
 これらの計画により、無電柱化を実現した道路景観は、その都市(地域)の魅力を一変する効果を持っていることは誰もが実感しているところである。
 本報告は、無電柱化事業の変遷と法律改正による新たな取組みについて、沼津市内の「都市計画道路 沼津南一色線における無電柱化」を事例に報告するものである。
2018年06月27日 [ 株式会社 ウインディーネットワーク 小川 年弘 ]

最先端海洋調査技術 海洋調査の目的により異なる調査技術[PDF/716KB]

海洋調査には多種多様な目的が存在し、各々の目的に適した調査技術が必要となる。日本国内で実施されている海洋調査としては、国立研究開発法人 海洋研究開発機構(JAMSTEC)の深海域調査や国立研究開発法人 水産研究・教育機構の水産資源調査、海上保安庁の水路調査、国土交通省の港湾工事等に関する調査のほか、水中考古学的調査等が挙げられる。
 調査機器や調査方法は対象とする海域の広さ、深度域によって異なり、調査設備も大型観測船を必要とするものから、小型船でなければ調査できない海域まで様々である。
 当社がこれまでに携わった業務として、JAMSTECの観測支援やしんかい6500のデータ処理、水産研究・教育機構の「干潟餌生物環境の物理条件解明」に関する浅海域の広域調査、産業技術総合研究所から依頼された高解像度海底地形処理を伴う仙台湾全域瓦礫調査等が挙げられる。昨年度には最先端海洋調査技術を駆使して、戦後米軍によって五島列島沖に沈没処分された24隻の潜水艦を発見し、さらに詳細な調査を行って各艦を特定した。
 海洋調査では前例のない調査に挑戦するケースも多く、目的を達成するため計測機器を新たに開発する場合も少なくない。本稿ではその一例として、当社が2015年から開発している無人観測船(無人船)”Windy-3S ” による海洋調査について報告したい。
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